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May. 2021

避難所での食物アレルギー対策

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大災害が起こると、交通機関が断絶等の影響で生活物資が届かなくなります。

そのため、内閣府の「南海トラフ巨大地震対策について(最終報告)~南海トラフ巨大地震で想定される被害~」(平成25年5月)によると、被災から3日間で最大3200万食分不足するとされています。

物資が不足する中で、問題となるのが食物アレルギーを持つ方の食糧不足です。

今回は一般社団法人LFA Japanの「アレルギーっ子ママが考えた防災ハンドブック」を基に、私たちができること(=自助、共助)をご紹介します。

 

そもそも食物アレルギーって?

食品を食べた時に、主に食品に含まれるタンパク質等を異物として認識し、排除しようと過剰な反応を示すことがあります。これを「食物アレルギー」と呼びます。

症状はじんましんやかゆみ等の軽症から、呼吸困難や顔面蒼白等の命に関わることもあり、決して軽んじてはいけません。

2024年3月現在の日本では、過去の健康被害等に基づき、そば、小麦、カニ、落花生、乳、エビ、卵、くるみの8品目の特定原材料と、大豆やゼラチン等20品目の特定原材料に準ずるものを食品表示法で規定しています。

・食物アレルギーの一覧はこちら

避難所における食物アレルギーの対策

対策①「避難所の受付」からアレルギーの有無を確認することが大切!

集団で過ごす時は、予め食物アレルギーについて共有しておくことが大切です。避難所の受付の段階でアレルギーについて確認しておきましょう。人の入れ替わりが多い避難所で後からアレルギーの有無を把握するのは、大変困難です。

 

対策②炊き出しに使う原材料を書きだそう!

アレルギー症状の程度は人それぞれ。原因物質もまた人それぞれで、卵がダメな方もいれば、乳製品がダメな方もいます。避難所を運営する方も被災者が中心のため、一人ひとりに確認を取れている状況ではありません。

そこで私たち、誰でもができることは「原材料を書きだす」ことです。

(2021年1月23日大阪府主催府民向け防災セミナーにて筆者撮影)

原材料を書き出すことで、アレルギーを持つ方がご自身で食べられるものか、そうでないのかを判断することができます。お子様の場合は保護者や周りの方がお手伝いしましょう。

 

★書きだす時のポイント

そのまま書く。食品ラベルのアレルギー表示にも色々あります!

特に「調味料」は注意が必要です。例えば、しょうゆは小麦や大豆、みそは大豆、マヨネーズは卵等、アレルギーの原因になる物質を含んでいる場合があり、省略しないで書くことが大切です。

アレルギーの原因になる食材は、「卵」「大豆」といったように原材料名で記載されることが多いですが、代替表記や拡大表記といった方法で表示されていることがあります!

 

代替表記:特定原材料等と表示方法や言葉が異なりますが、特定原材料等と同じものであることが理解できる表記

拡大表記:特定原材料名や代替表記を含むことにより、特定原材料を使った食品であることが理解できる表記

 

例えば「卵」の代替表記は「タマゴ」「エッグ」、拡大表記は「ハムエッグ」があります。

食品表示基準に係る通知「別添 アレルゲンを含む食品に関する表示 別表3特定原材料等の代替表記等方法リスト」に代替表記のリストが掲載されています。

また、炊き出しに使用している「調味料」や「トッピング」も注意が必要です。例えば、しょうゆは小麦や大豆、みそは大豆、マヨネーズは卵等、アレルギーの原因になる物質を含んでいる場合があります。省略しないで書くことが大切です。

 

対策③牛乳パック等の容器の使い回しは要注意

食物アレルギーは1ml又は1gに数十μgの濃度があれば発症するとされています。

そこで注意が必要なのが容器の使い回しです。牛乳パック等、元々アレルギーの原因物質が入っていた容器には、目に見えないタンパク質が残っていることがあります。

    例えば、

  • 牛乳パックを切り開いてまな板にする
  • 牛乳パックの角をスプーンやお玉がわりにする
  • 乳酸菌容器を計量カップとして使う
  • 等で容器を二次利用してしまうと、知らず知らずのうちに接種する恐れがあります。

対策②で情報を書き出したとしても、調理する方が気付かなければアレルギーを持つ方には伝わらない情報です。災害時で容器などは不足しがちではありますが、飲食物の容器を他のものに代用する時は「元々何が入っていたものか」を注意して確認するようにしましょう。

食物アレルギーは避難所生活に潜む重要なリスクです。

誰もが安心して過ごすためには、食物アレルギーを持たない方のご協力が必要不可欠です。近い将来に必ず来ると言われている南海トラフに備えるため、ぜひ覚えておきましょう。

 

★もっと詳しい情報を知りたい方はこちら

■LFA食物アレルギーと共に生きる会HP http://www.lfa2014.com/

■炊き出しガイドブック http://lfajp.com/pg233.html

■防災ハンドブック http://lfajp.com/pg233.html

■要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/guidebook.html#02

■災害時のこどものアレルギー疾患対応パンフレット https://www.jspaci.jp/assets/documents/saigai_pamphlet.pdf

 


参考文献

一般社団法人LFA Japan HP「アレルギーっ子ママが考えた防災ハンドブック」http://lfajp.com/pg186.html, p.18(2021年8月26日アクセス)。

内閣府 防災情報のページ「南海トラフ巨大地震対策について(最終報告)~南海トラフ巨大地震で想定される被害~(平成25年5月)」http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taisaku_wg/pdf/20130528_houkoku_s2.pdf, p.11(2021年3月31日アクセス)。

消費者庁HP「アレルギー表示に関する情報」https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/ (2021年4月12日アクセス)。

消費者庁HP「食品表示法等(法令及び一元化情報)」https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act (2021年4月12日アクセス)。

消費者庁HP「食品表示基準 別表14」https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/pdf/food_labeling_cms101_201009_1.pdf, p.365 (P.35)。

消費者庁HP「食品表示基準に係る通知「別添 アレルゲンを含む食品に関する表示」(平成27年3月30日消食表第139号)」https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/pdf/food_labeling_cms101_200720_01.pdf, p.1-6, 別表3。

消費者庁HP「食品表示基準Q&Aについて(平成27年3月30日消食表第140号)」https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms101_210317_10.pdf, p.5。

消費者庁HP「食品関連事業者のみなさま 加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック(令和5年3月作成)」https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_210514_01.pdf,(2024年3月28日アクセス)。

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