10
Feb. 2021
玉ねぎ
まずは、みなさんに玉ねぎクイズです🎤
玉ねぎの花はどれでしょうか?
正解は…??
開く
閉じる
- にんじんは「セリ科」
- 玉ねぎは「ヒガンバナ科」(以前は「ユリ科」や「ネギ科」に分類されていましたが、現在のAPG植物分類体系では、ヒガンバナ科に分類されています。)
- フキは「キク科」
それぞれ、同じ科の植物とは花が似通っていますね。
わかりましたか??
今回は、小さい白い花が沢山つく花を集めてみました。
1年中手に入る玉ねぎですが、新玉ねぎの時期や調理法によって違う味わいを楽しむことができる野菜です。いちご並みの糖度(9度前後)があると言われています。玉ねぎの一番の特徴である辛味を抜くと、この甘味を感じることができるのだとか。
🧅硫黄化合物のおかげで血液サラサラ🧅
話題にもなった、玉ねぎの血液サラサラ効果は、硫化アリルが含まれているからです。
揮発性で水に溶けやすいため、切ったまま放置したり、水に長くさらすと失われてしまいます。
豚肉や大豆、ごまなど、ビタミンB1を多く含む食品と一緒に食べると、効率よく吸収されるので、オススメです。
※ビタミンB1には、糖質代謝に関わる酵素の働きをサポートするため、ブドウ糖をエネルギーへ変換(血糖値上昇抑制)したり、疲労物質の代謝を促進する効能(疲労回復効果)があります。
🧅大腸がんの細胞減少に有効なケルセチン🔎
ポリフェノール の一種であるケルセチン。
含有量は赤色種が最も多く、黄色種→白色種の順に少なくなります。
血圧低下作用や血中脂質改善作用など、生活習慣病予防効果があると言われています。
強い抗酸化作用、抗炎症作用があり、さらに、がん予防効果があると言われています。
続いて、おいしい玉ねぎの選び方についてご紹介します!
🧅見た目だけでなく触って確認✋
①表面の茶色い皮が乾燥していて艶があるもの。
②首と根の部分が小さく締まっているもの。
③ずっしりと重みがあり、キズがなく、固く締まって丸々と太っているもの。
新玉ねぎを選ぶ時も、茶色い皮が乾燥しているところ以外は同じポイントでOKです。
玉ねぎと新玉ねぎの大きな違いは、収穫後に乾燥させているかどうか!
乾燥させないで出荷している新玉ねぎは水分を多く含んでいるので、表面の皮も中身も柔らかいのが特徴です。
その分、保存期間も短くなってしまうので注意しましょう。
お店で確認する際は、たまねぎの首付近を強く押しすぎないように注意してくださいね⚠
玉ねぎは乾燥していて涼しい所が大好きです。風通しのよい冷暗所に保管しましょう。
丸ごと保存の場合は、ストッキングやみかんのネットなどに入れてベランダにつるして保存しましょう。
または、カゴに吸湿性のある新聞紙などを敷くか、1個ずつ新聞紙で包んで保存する方法もあります。
使いかけは、ラップをして保存袋に入れて冷蔵庫で保存しましょう。
玉ねぎが腐ってしまうと、とにかく臭いがキツくなります。
中心部から腐るので、上の真ん中、軸のあたりを軽く押してみて、凹んだりしないか確かめましょう。
中心部の茶色く腐っている部分のみ除けば食べてもよいですが、全体的にブヨブヨしていたら食べられません!
古くなるにつれて柔らかくなるので、購入する時も触ってチェックしてみてください。
🧅涙の原因は…😥
玉ねぎを調理した際の涙の原因は硫化アリルと言われていますが、
実は玉ねぎの硫黄化合物が酵素(アリイナーゼ)により分解され、さらに催涙成分合成酵素( LFS )の働きで催涙物質に変化して刺激を与えるからなんです。
この発見は、イグノーベル賞を受賞しています🏆
🧅涙を出さないようにするポイント☝
①電子レンジで加熱
催涙物質は揮発性のガスです。
加熱に弱いので、ラップにくるんで電子レンジで加熱(500~600w)しましょう。
皮ありの場合は2分程度、皮なしの場合は20~30秒が目安です。
②冷蔵庫で冷やす
冷却すると気化が遅くなるので、皮をむいた後ラップをして、冷蔵庫で1時間ほど冷やして使いましょう。
常温に戻るとまた気化しだすので、使う直前に冷蔵庫から出し、手早く調理しましょう。
③切れ味のいい包丁を使う
無駄に細胞を気付けないよう、切れ味のいい包丁で、力をいれないように切りましょう。
できる限り細胞をつぶさないことで、催涙ガスの発生を抑えることができます。
④換気する
発生した催涙物質は、窓を開けたり、換気扇で吸い込んで外に逃がしましょう。
人によって感じ方が違いますので、色々試して自分にあった方法を見つけてみてくださいね♪
参考文献
今井真介(2015年)、「タマネギ催涙因子合成酵素の発見とその関連研究」『日本食品工学会誌』Vol.16、No.2、pp.181-184。
今井真介、「ひとを泣かせないタマネギの話し」、一般財団法人杉山産業化学研究所 第80回公開講演会資料。
野菜の図鑑「ユリ科の野菜一覧」https://yasaizukan.net/yurika-yasai/(2021年5月21日アクセス)。
白瀧義明(2020年)、「野山の花-身近な山野草の食効・薬効-」『New Food Industry (New Food Indust)』第62巻、第3号、pp.218-221。
農林水産省HP「にんじんについて」https://www.maff.go.jp/j/kids/crops/carrot/column02.html(2021年5月21日アクセス)。
公益社団法人日本薬学会、「薬学用語解説-ビタミンB1-」https://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?ビタミンB1(2021年2月28日アクセス)。
小堀真珠子(2017年)、「ポリフェノール含有野菜の高機能化とその応用戦略 -ケルセチン高含有タマネギの健康機能-」『オレオサイエンス』第17巻、第10号、pp.475-481。
坂尾こず枝(2016年)、「ケルセチン誘導体を用いたヒトがん細胞死誘導メカニズムの解明」『科学研究費助成事業・研究成果報告書』https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-26850084/26850084seika.pdf(2021年2月28日アクセス)。
白鳥早奈英・板木利隆(監)(2009年)、『もっとからだにおいしい野菜の便利帳 (便利帳シリーズ)』高橋書店。
東京医科大学 公衆衛生学分野、「疲労回復のための栄養素の効果的な摂取-ビタミンB1-」http://www.tmu-ph.ac/recovery/02.php(2021年2月28日アクセス)。
農林水産省「消費者の部屋-新玉ねぎと普通のたまねぎとは品種が違うのですか。」https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/2006/01.html(2021年2月28日アクセス)。
ハウス食品株式会社(2013年)、「タマネギ研究でのイグノーベル賞受賞について」、プレスリリース https://housefoods.jp/company/news/dbpdf/58234824e464b7.pdf(2021年2月25日アクセス)。
Imai S, Tsuge N, Tomotake M, Nagatome Y, Sawada H, Nagata T, Kumagai H.(2002),“An onion enzyme that makes the eyes water,”Nature, Vol.419,No.6908,pp.685.
Nakayama H, Tsuge N, Higashi Y.(2013), “Chronic Intake of Onion Extract Improved Postprandial Endothelial Dysfunction in Healthy Men,” Journal of the American College of Nutrition, Vol.32, No.3, pp.160-164.
渡辺純・室崇人・柳田大介・山岸喬・石川(高野)祐子(2013年)、「北海道産タマネギ品種のケルセチン含有量と抗酸化能の差異」、『日本食品科学工学会誌』第60巻 、第10号、pp.563-566。