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14

Mar. 2023

保護者向け

ゴキブリの雑学&対策方法をご紹介!

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皆さん、ゴキブリは好きですか?
見た目も動きも不快!嫌い!という方が多いのではないかと思います。中には名前を聞くだけで鳥肌が立つという方もいるかもしれません。だけどそれは、もしかしたらあなたがまだゴキブリのことをよく知らないからかも?

 

今回はゴキブリの雑学&対策方法についてお話します!
目次を作成しているので、気になる項目から読んでみてくださいね。

 

目次

 

■雑学

♦世界中で4,000種以上いる

実は種類が豊富なゴキブリ。このうち、屋内に侵入し害虫として扱われるのは1%以下で、大多数は屋外で生活しています。日本には64種(2022年4月時点)おり、その中でも私たちがよく目にするのはクロゴキブリとチャバネゴキブリの2種ではないでしょうか。

クロゴキブリの特徴

チャバネゴキブリの特徴

 

♦「1匹いたら100匹いる」って本当?

ゴキブリは実際、どれほどの繁殖力を持っているのでしょうか?
ゴキブリの卵は、卵鞘(らんしょう)というがまぐち形のケースの中に入っており、クロゴキブリの場合、その中に20~30個もの卵が入っているのです。
かつ、メスのゴキブリ1匹あたり約17個の卵鞘を産むので、単純計算で1匹あたり20×17=340個の卵を産むことになります💦

ゴキブリの卵鞘

ちなみに、産卵方式はゴキブリによって違いがあります。
チャバネゴキブリは卵鞘を羽化するまでお腹の先端に付けたまま活動しますが、クロゴキブリは卵鞘を産み落とします。
そのため、もしも家の中で卵鞘を見つけたら、それはおそらくクロゴキブリのもの!幼虫が出てくる前に対処したいところですが、卵鞘は非常に頑丈なため、殺虫剤をかけても中に入っている卵には効きません。
そこでおすすめなのは潰すこと。少々勇気が要りますが、しっかりと潰して捨てるようにしましょう。

 

♦幼虫を見たことはある?

ゴキブリの幼虫は、基本的構造が成虫と同じ!ただしまだ翅は生えておらず、体の模様も成虫とは異なっている場合が多いです。小さなサイズで生まれた幼虫(若齢幼虫)は、脱皮を繰り返すことで大きく成長していきます。脱皮直後は白くて柔らかいのですが、時間が経つと色がついて硬くなります。

ゴキブリ成長、不完全変態

クロゴキブリの若齢幼虫は5mmほどしかないため、もし家で見かけても「ゴキブリじゃないかな?」と思ってしまうかもしれません。ここで、クロゴキブリの若齢幼虫の特徴をチェックしましょう。

クロゴキブリ若齢幼虫の特徴

もしこの特徴に当てはまっていたらそれはクロゴキブリの幼虫である可能性が高く、そのままスルーするのは絶対にNG!
若齢幼虫は移動距離がそれほど多くないため、その若齢幼虫はあなたの家で生まれたものである可能性が高いのです。ということは…“家の中には他にもたくさんのゴキブリがいる”というサインかもしれません!
*小さなゴキブリを見つけた時の対策はこちら

 

♦実はシロアリやカマキリに近い仲間

実はゴキブリは、シロアリやカマキリに近い仲間です。
カマキリにとってはイメージダウン甚だしいかもしれませんが、ゴキブリとカマキリは、実は祖先が同じだそうです。
そう言われれば、卵鞘を作るところや平べったい体が似ていますね。

カマキリの卵鞘

ちなみに、今のゴキブリの仲間たちは恐竜がいたころに生まれたそうです。これからも新しい発見があることでしょう。

 

さて、それではシロアリはどういう関係なのでしょうか。
実はシロアリは、分類上「昆虫網ゴキブリ目シロアリ科」の生き物。つまり、シロアリはカマキリ以上にゴキブリに近い存在なのです。ちなみに、アリはゴキブリではなくハチに近い仲間です。シロアリは「アリ」と入っていますが、アリの仲間ではないのですね。

 

♦なかなか新聞紙で叩き潰せないワケ

ゴキブリの尾肢(おしりから伸びている突起のようなもの)には細かい感覚毛が生えており、空気の動きなどを察知することが出来ます。危険を察知してから、脳に命令を伝え、走りだすまでの時間はわずか1/20秒!
その上、ゴキブリは足が速い!クロゴキブリは1秒間になんと50cmも走って逃げることができるのです。どうりで殺虫剤をかけてもなかなかヒットしないわけですね。

ゴキブリの逃げるスピード

ここで、その他の特徴的なパーツについてもご紹介!

 

・基本構造
ゴキブリは昆虫の一種なので、頭部・胸部・腹部という3つのパーツに分かれており、胸部からは6本の脚が生えています。

 

・触角
遠くの物の匂いや空気の振動を感じることができ、アンテナのような役割を果たします。また、触角で物との距離を測ることもできるため、逃げるときに複雑の形状の壁に差し掛かってもそれに追随し、逃げ切ることができると考えられています。

 

・脚
脚の先端部分にはすべり止め機能を備えた部分があります。これがあることで、ガラスのようなツルツルした部分を登ったり、天井に張り付いたりすることができるのです。

ゴキブリの触角、足、尾肢

 

♦現在の名前は誤植から

実は、ゴキブリはもともとゴキカブリ(蜚蠊)と呼ばれていました。語源は「御器」+「かぶる(かじる)」で、御器をかじる虫という意味です。御器とは食器のことで、ゴキブリが食器についたご飯粒を食べている様子からこの名前が付けられたと考えられています。

ゴキブリの由来、ゴキカブリ

それでは、そこからどうやってゴキブリという名前になったのでしょうか。
それは、明治時代に出版された本の中で、蜚蠊(ゴキカブリ)に誤って「ゴキブリ」とフリガナを振ってしまったことに始まります。この間違ったフリガナは学者たちの著書などに継承され、そのまま定着してしまったのでした。

 

せっかくなので、名前関連のお話をもう一つ。
図鑑などで、生き物の名前と一緒に書かれているアルファベットを見たことがあるかと思います。あれは学名という、世界中で通じる名前です。ラテン語やギリシャ語が用いられるため少し難しいですが、それぞれにちゃんと意味があります。
例えば、私たちヒトの「Homo sapiens(ホモ サピエンス)」という学名は、「人」という意味のhomoと、「賢い」という意味のsapiensが合わさってできています。

 

それでは、クロゴキブリの学名「Periplaneta fuliginosa」の場合はどうでしょうか。
Periplanetaperi(周りに)とplanes(放浪者)を合わせた造語で、「さまよい歩くもの」という意味
fuliginosa:すすけた(=すすが全面的について黒く汚れているさま)という意味
の2語で構成されており、クロゴキブリの習性と見た目をとてもよく表していますよね。

クロゴキブリの学名

 

♦水なしで5週間生きられる種類がいる

ゴキブリは、飲まず食わずの環境でもかなりの日数生きることが出来ます。クロゴキブリなど大型の種類は、オスで30日間、メスだと40日間も生きます。小型のチャバネゴキブリの場合は、オスで7日間、メスだと10日間ほどです。

 

とはいえ、生きていくためには水が不可欠!ゴキブリは水があってジメジメとした場所が大好きです。 その他、ゴキブリが好きな場所の特徴がいくつかあります。

 

①暖かい場所
ゴキブリは寒さに弱い生き物。そのため、私達の住む家の中では、冷蔵庫やガス台、電気機器の周辺など、比較的暖かな箇所に集まる傾向があります。電気機器に入り込むと、故障や漏電の原因になってしまうこともあるため要注意です。

 

②暗くて狭い場所
ゴキブリは夜行性のため、日中は狭くて暗い隙間に潜んでいます。夜になると、食べ物やエサを求めて動き出します。

 

①②の特徴を兼ね備えているうえにエサとなるものがたくさんあるキッチンは、ゴキブリとの遭遇率が高い場所!
夜間に生ごみを放置しているのは、ゴキブリを飼育しているようなもの!ゴキブリが増える原因になってしまうので気を付けましょう。

ゴキブリはキッチン大好き

 

♦共食いする

ゴキブリが好きな食べ物の成分は、カプリル酸やメチルミリステート、そして麦芽糖やでんぷんなどです。好きな匂いに誘われてやってきたゴキブリは、顎と下唇にあるひげで味を感じながらご飯を食べます。
ただ、ゴキブリは雑食なので、これ以外のものも食べます。人間の食べ物はもちろんのこと、糞便、紙、木、腐った植物や死体など、有機物であればなんでも食べます。

 

更に、エサが不足すると共食いもします! そのため、粘着トラップに捕まったゴキブリは、放置せずにすぐに処分しましょう。そのまま放置していると、その他のゴキブリのエサになることがあるため要注意です。

ゴキブリの共食い

 

♦漢方薬として売られている!?

ゴキブリを食べるなんて!と思うかもしれませんが、中国ではゴキブリが現在でも漢方薬として利用されています。
漢方薬として利用されているのは、ワモンゴキブリやチャバネゴキブリなど。これらを熱湯で殺して日干しにしたものを、そのままの状態か粉末状にして使用します。鬱血、悪寒と熱気、喉の腫れ、解毒、急性胃腸炎などに効果があるそうです。まるで万能薬ですね。
また、中国以外でもゴキブリは漢方薬として使われています。
台湾では、ゴキブリの内臓を取ってそこに塩を詰めて焼いたものが風邪薬や消化剤に、ヨーロッパでは、ゴキブリを粉状にしたものが肋膜炎や心膜炎に効く薬として売られています。その他、ゴキブリの生命力にあやかりたいという気持ちの表れなのか、ペルーやジャマイカでもゴキブリが薬として用いられているそうです。

 

とはいえ、その辺を歩いているゴキブリをつかまえて食べるようなことは絶対にしないでくださいね。ゴキブリは下水道や便所などに住み着くことも多いうえ、汚物や腐敗したものを平気で食べるため、体に色々な病原菌が付着しています。これをつかまえて食べるなど、もっての外です。

ゴキブリに付着する病原菌

 

■対策

♦予防

対策①家の中に入れない

・窓や網戸を閉める
飛ぶことが出来るゴキブリは、夜にベランダや窓などから屋内に侵入してくることがあります。そのため、窓や網戸を開けっぱなしにしないようにしましょう。

 

・排水管の隙間を埋める
体が薄くて小さいゴキブリは、わずかな隙間であってもそこから屋内に侵入してきます。
特に排水管は、ゴキブリの絶好の生息場所!隙間を見つけたら埋めておきましょう。

 

対策②餌をとりのぞく

キッチン周りは要注意!残飯はきちんと片付けて清潔に保つようにし、コンロ周辺や排水かごについた食品屑は定期的に掃除しましょう。

 

対策③棲家を無くす

・引き出しや戸棚
引き出しの奥や戸棚の奥の物陰は人の目が行き届かず、あまり使わないものが入っていることが多いので、ゴキブリにとって絶好の住処になります。特に近くに水があるような場所、出入り口に近い場所は要注意です。

 

・段ボール、発泡スチロール
段ボールは断面の構造が潜り込むのにちょうどよく、ゴキブリが住処として好みます。そのため長期間の利用や放置は控えましょう。
また、発泡スチロールをかじって卵鞘を貼り付ける種類もいるとか。段ボール同様、長期間の放置は避けましょう。

 

♦見かけた場合は

対策①粘着トラップ、食毒剤(ベイト剤)を設置する

ゴキブリの巣となりやすい隅っこ&キッチンなどのゴキブリがよく通る場所に設置しましょう。

 

対策②殺虫剤を使用する

歩いているゴキブリを見つけ次第、直接噴霧しましょう。ただし、粘着トラップや食毒剤(ベイト剤)を設置している箇所への噴霧は×。殺虫剤のせいでゴキブリが寄り付きにくくなってしまいます。

 

対策③燻蒸剤を使用する

家の中で多数見かける場合は、一度燻蒸剤を使用しましょう。
燻蒸後に死骸が転がっている場合は近くに住処があった可能性があります。住処と思しき場所は整理整頓し、掃除をします。その後、粘着トラップや食毒剤を設置し、残ったゴキブリを捕まえましょう。

 

♦小さなゴキブリを見かけた場合は

小さなゴキブリを見かけた場合は、家の中で卵が孵った可能性を疑います。これは危険サインです!
すぐに殺虫剤でやっつけた後で燻蒸剤を使用し、家にたくさんいる(かもしれない)ゴキブリの数を減らしましょう。

 

♦番外編:トラップを作ってみよう

実はトラップは自作することが出来ます!
今回はバタートラップをご紹介します。明治40年に佐々木忠治郎博士によって菜種油を使用する罠が考案され、それが昭和26年にバターを使用するものへとブラッシュアップされ、バタートラップが登場しました。興味のある方はぜひ作ってみてください。

 

【作り方】
①ペットボトルを用意します。
②中にエサを入れます。
③内側にバター(マーガリン)を塗ります。
④完成!

 

内側にマーガリンを塗ることで、一度中に入ったゴキブリは外に出られなくなります。
マーガリンの下では、腕についたすべり止めも大した効果を発揮しません。
このトラップの場合だとゴキブリが生け捕りされるので、「生きた状態を見たくない!」という方にはあまり向いていません。

 

ちなみに、設置したトラップ1つあたりに毎日平均1匹以上捕獲される場合には、専門の駆除業者に相談することをおすすめいたします。

 

■まとめ

いかがでしたでしょうか?
「ゴキブリって面白い!」と思った方も、「やっぱり嫌い…」と思った方もいらっしゃることでしょう。ただ、どちらにしても、家にゴキブリがいるのは衛生的によくありません。
しっかりと対策を行って、家の中にゴキブリが入り込まないように、そして棲みつかないようにしましょう!

 


【参考文献】
岡田二郎(2002)、「昆虫の触角行動」『比較生理生化学』19巻、3号、p.187-197。
黒澤聡樹(2007)、『虫の手引き-1』イカリ環境事業グループ。
鈴木知之(2015)、『ゴキブリだもん~美しきゴキブリの世界~』幻冬舎コミックス。
津田良夫・安居院宣昭・谷川力・夏秋優・林利彦・平林公男・山内健生(2020)、『衛生動物の事典』朝倉書店。
松谷修市・佐藤和義・小関俊子(1997)、「チャバネゴキブリ難防除原因についての一考察―防除処理後の卵鞘からの孵化―」『ペストロジー学会誌』12巻、1号、p.38-41。
安富和男(2009)、「ゴキブリ用のバタートラップ」『月刊クリンネス』9月号。
安富和男(2010)、「昆虫の運動能力」『月刊クリンネス』9月号。
安富和男(2010)、「昆虫の味覚」『月刊クリンネス』9月号。
安富和男(2012)、「飢餓に耐える昆虫」『月刊クリンネス』1月号。
柳澤静磨(2022)、『ゴキブリハンドブック』文一総合出版。
イカリ消毒株式会社HP「害虫と商品の情報サイト」https://www.ikari.jp/, (2023年2月27日アクセス)。
筑波大学研究情報ポータルCOTRE「ゴキブリの起源は意外と新しかった!」https://www.tsukuba.ac.jp/journal/biology-environment/20190201155927.html,(2023年2月27日アクセス)。

 


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