あなたの衣類は大丈夫？虫食い被害に遭いやすい繊維を知ろう

Oct. 2022

どういう衣類が虫食いの被害に遭いやすいかをご存知ですか？

「どれも一緒じゃないの？」と思うかも知れませんが、実は繊維の種類によって、衣類害虫(=衣類の繊維を食べて虫食いを発生させる虫)に食い荒らされる量は大きく異なります。

あなたの着ているその洋服も、もしかしたら被害に遭いやすい繊維を使っているかも？

■衣類害虫が食べる繊維＝栄養成分が含まれる繊維

衣類害虫が衣類を食べるのは、そこから栄養を摂取するためです。つまり、衣類害虫にとって栄養となる成分が含まれている繊維ほど被害に遭いやすいということ。

衣類害虫の栄養となる成分は、ケラチンやセリシン、ミルクカゼインなどのたんぱく質なので、これらの成分を含む繊維には要注意です！

■被害に遭いやすい繊維は？

ケラチンという成分は羊毛や羽毛などの動物の毛に多く含まれています。つまり、羊毛や羽毛などの動物繊維は、虫食いの被害に遭いやすい繊維であるということです。

また、同じく動物繊維である生糸(カイコが出す糸)も、中にセリシンという成分が含まれているため、虫食いの被害に遭いやすい繊維です。しかし、生糸を精練*した繊維である絹(シルク)は、精錬の際にセリシンが除去されるため、それほど虫食いの被害に遭いません。

＊精練：繊維・繊維製品に付着している天然不純物、油剤などを取り除く染色の前工程のこと。

逆に、動物繊維ではないけれど被害に遭いやすい繊維もあります。

それはシノン(半合成繊維)で、ミルクカゼインというたんぱく質成分を含むため、虫食いの被害に遭いやすくなっています。

衣類害虫が好む繊維

■被害に遭いにくい繊維でも油断は禁物

動物繊維とシノン以外を使用した衣類は虫食い対策をしなくてもいいのかというと、そうではありません。衣類害虫にとっては、衣類に付着した汚れやしみも大事な栄養分。

そのため、衣類に汚れやしみが付いていると、植物繊維や合成繊維を使用した衣類であっても虫食いの被害に遭ってしまうことがあります。

汚れと衣類害虫

詳しくはこちらの記事をご覧ください！

■対策をして被害を防ごう！

今回は、虫食い被害が大きくなる繊維について紹介しました。

衣類害虫が好む繊維は高級品に用いられることが多いため、食べられてしまうと甚大な被害となってしまいます。そのため、被害を未然に防ぐことが大切です！

被害を防ぐポイントについては以下の記事で紹介しているので、是非ご覧ください。

ポイント②衣類害虫を住み着かせない→https://www.sakulife-ikari.com/3h/clothing_pest3/

衣服の収納

【参考文献】

田中良子(2004)、「衣類の害虫と被害・保管について」『繊維製品消費科学』45巻、4号、p. 264-271。

辻井康子(1978)、「被服の保存と虫害」『繊維製品消費科学』 19巻、1号、p. 20-27。

中元直吉(1983)、「衣類害虫の生態とその防除(衣類害虫)」『家屋害虫』 15巻、16号、p. 52-70。

中元直吉(1997)、「3.虫害」『繊維製品消費科学』 38巻、8号、p. 416-423。

日本化学繊維協会HP「化学繊維の用語集」

https://www.jcfa.gr.jp/about_kasen/knowledge/word/20.html(2022年10月19日アクセス)

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